<大阪俗謡による幻想曲の曲想>
-謎の物体の飛来から天神祭の熱狂へ-
謎の物体が飛来し、大音響とともに落下した、といった風体の
導入につづき、呪文とも読経ともつかぬ面妖なパターンが出現、
ひとしきり奇怪な音楽を繰り広げるが、太鼓とちゃんちきの突然の
登場を合図に、テンポはにわかに速められる。
つづいて曲の柱となる3つの主旋律が紹介される。第1のテーマ
は場面転換の直後に木管楽器が吹く、「ラ」と「レ」の音を執拗に
反復する原色調のもので、大阪の最も盛大な夏祭り「天神祭」
で鳴らされる祭囃子がその出典とされる。作曲者自作の第2の
テーマはフルートとイングリッシュホルンが担当するが、第1の
テーマとはまるで違う、流線形然としたあでやかさ、伸びやかさが
印象的だ。太鼓のリズムに誘われてピッコロが踊り出、第3の
テーマを聴かせる。こちらは天王寺の生国魂神社の獅子舞囃子が
原曲とのこと。
お祭りの山車や踊りの一団が遠くに去ってゆくように、鳴らされる
楽器の数が減ってゆき、これまでにない色調の音楽に主役の座が
譲られる。物憂げに浮遊するフルートやオーボエは、
哀切に唄われる小唄のようであり、はらはらと散ってゆく弦楽の
ピチカートは、漫然と弾かれる三味線を想わせる。時間は湿り気を
ほしいままに含みつつ、緩みきってのろのろと流れてゆく。白粉の匂い
、紅色の灯火――。
逸楽の夜はほんとうに短く、音楽もやがてむくむくと目を覚まして、
以前と変わらぬ喧騒が戻ってくる。今度はかつて呈示した3つの
主旋律を、さまざまに変容させて曲が前進してゆく。前半部分にも
増して意気高い、健康的な交響楽が展開された後は、祭りの熱狂
さながらに限界までテンポを加速し、その興奮の頂点をもって曲の
しめくくりにかえている。
http://kcpo.jp/info/36th/Osaka-z.html
http://kcpo.jp/info/36th/Osaka-z2.html
http://www3.osk.3web.ne.jp/~tsiraisi/musicology/
article/ohguri-fantasia-osaka.html
但我不懂日文耶....
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